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(姫様はこのような仕打ちを受けても、本当に曲がることなく心根はお優しいままで……。
それに、幼い頃から可愛らしいお方だったけど、最近は匂い立つようなお美しさでいらっしゃるわ)
阿漕は、みすぼらしい衣をまといながらも、身の丈より数尺は長い落窪姫の豊かな御髪を見つめながら、つくづく思いました。
落窪姫の面差しは、中納言家のどの姫よりも優れていて。
黒目がちのうるんだ瞳に、すっきりと形の良い鼻。
小さく可愛らしい唇に、紅く染まった丸い頬。
これで綺麗な衣装を身につければ、どんな殿方でも落窪姫に恋をしてしまうことでしょう。
(どうにかして姫に、よいご縁談を調えることができないかしら)
最近特に美しくおなりの姫を見ると、阿漕はそう望まずにはいられません。
そうしてまじまじと姫を見つめていると、阿漕の目は姫が身に着ける絹の綿入れに止まりました。
「姫様、その綿入れはどうなさったのですか?」
夜になると肌寒い季節を迎えておりましたので、いつも白い袷を身に着けているだけの落窪姫を、阿漕は密かに心配していたのです。
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