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阿漕が落窪姫に文を見せると、いつもは乗り気では無い姫も、今日は少し退屈しているのか、すぐに中に目を通しました。
ところが、そこには『絵をご所望』とか『絵は見せない』とか。
姫には全く覚えのないことが書いてございます。
「よくわからないお手紙だわ。
阿漕、お前もしかして、私が絵を見たがっていると、右近の少将様にお話したの？」
「それはきっと、私が夫の惟成に、何か絵巻物があれば、持ってきてほしいと手紙に書いたのを、少将様がご覧になられたのでしょう」
「まあ、どうしましょう。
貴重な絵を見たがっていると思われただなんて。
私のような者は、世間に知られずひっそりと暮らす方がいいのに。
少将様は、ずうずうしい女だと、不快に思っていらっしゃらないかしら」
落窪姫は頬を赤くして、少将のことをとても気にしているようです。
「申し訳ありません、姫様。私がよく考えもせずあんな手紙を書いたから……」
阿漕は落窪姫の気持ちも考えず、少し軽はずみなことをしてしまったと、肩を落としました。
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