第三章

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「友人がね、雨の降る夜の一人寝は寂しいって教えてくれたんだ。 だからお前と一生に寝ようと思ってさ」 阿漕の耳に口を寄せてそうささやくと、阿漕もふふと笑います。 「もう、馬鹿ねえ」 そうは言っても、夫にこんな風に口説かれて、阿漕も悪い気はしないのです。 「ほら、はやくお部屋に戻って、二人であったまって寝ようよ」 手を引く惟成の力強さに阿漕も根負けして、落窪姫に一声かけると、二人は仲良く阿漕の部屋に戻ったのでございます。
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