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「やっぱり姫様は、私が何もかも承知の上で、姫様を騙したとお思いなんですね。
長年姫様の事だけを思ってお仕えしてまいりました。今度の石山詣だって、姫様がご一緒じゃないなら楽しくないと、嘘までついてご辞退申し上げたんです。
そんな私の言葉を信じて下さらないなんて、阿漕は情けなく思います。
そんなに信用ができないと仰るなら、どうぞお暇をくださいまし。
もう、何処へなりと参る覚悟でございます」
言っているうちに自分でも悲しくなって、阿漕は泣き始めてしまいました。
その鼻を啜る声を聞いて、落窪姫も頭からかぶった夜具を解いて、阿漕の前に姿を出します。
「いいえ、阿漕。あなたを疑ってなんかいないし、あなたのせいだとも思っていないわ。
ただね、私……」
落窪姫はいったん言葉を切って、悲しそうに眉を寄せてから思い切ったように話し始めました。
「右近の少将様のような立派な殿方に、こんなみすぼらしい身なりの自分を見られてしまった事が、辛くて情けなくて。
考えても仕方ないことだけど、もしお母様が生きておいでだったら、違った形でお会いできたかもしれないと思うと、侘しくてみじめに思えるのよ」
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