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こっちも洋室同様に広く作られていて、布団を敷くスペースと収納されているであろう押入れ。
そして窓際には小さいテーブル等もあった。
こっちにも身支度を整えられるよう、そして部屋に合うような和風の鏡台が置かれている。
古そうだけれど、よく手入れされているなあと年季の入った鏡を見て思う。
「ホラーごっこ出来そう」
ボソッと兄さんが呟いたかと思うと、スッと静かに結菜さんが鏡台から少し離れた辺りで楕円の鏡に自分が映るように腰を落とした。
そして髪を梳かすしぐさをする。
鏡越しに俺の方を見て、徐々に鏡へと近づく。
そして兄さんは有名なホラー映画の主題歌を口ずさむ。
やめてほしい。
鏡台に、そして俺へと向かって来る結菜さんは、睨んでいる訳ではなく笑顔だけれど、それが逆に怖い。
昔に観たあの邦画のように、逆方向を向いて俺は鏡台から離れた。
「寝れなくなったらいつでもどうぞ?」
そんな俺の様子を見て、にまにまとしながら兄さんが言う。
あの映画を見た時に、夜中に泣きじゃくった事を思い出したんだろう。
「いや、礼二君居るし」
それに別に、怖くないし。成長したし。
言い訳がましく言うと、結菜さんはにまにましながら、兄さんはちょっとむくれて「えー」と言いながら和室を出た。
変な事をしないでほしい。もう子供じゃないんだから。
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