プロローグ

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事故なんてよくある事だ。 だけどそれが自分や身近な人に降りかかるなんて、皆思わないだろう。 俺だってそうだった。 だけど勝手に何かを感じ取ったらしい体は、もう長らく出る事の無かった、兄からの着信を取った。 『もしもし? よかった、出て。いいか? いい?いいか? 落ち着いて聞けよ?いいか?』 お前が落ちつけよ。と思わず笑いそうになった俺は、しかし数秒後に告げられる言葉に、動けなくなった。 呆然とする俺に、一緒にいた友達はどうしたのかと尋ねる。 何も考えられずに、電話の内容をボソボソ話すと、友人たちの顔色が変わった。 その後、彼らは俺を病院まで連れてきてくれた。 自分では落ち着いているつもりでも、何が何だかよく解らない。 頭はボーっとしたまま、せかせかとただ足を動かす。 たどり着いた病院で、珍しく泣き出しそうな兄を見た。 そしてどこかに浮いていた俺の意識は、グッと体に引き戻された。 両親は俺たちを残して、いなくなった。 電話と同じ事をまた言われて、俺は改めてそう実感した。 嘘かもしれないと、もしかしたらどこかで信じていたのかもしれない。 だけれど兄の顔が現実を教えた。 そうして変わった俺の周りは、それからさらに変わる事になる。
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