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しかし、その耳よりもさらに特筆すべき点があった。
なんと、ズボンの専用穴から猫ではなくウサギの尻尾が生えていたのだ。
そんな奇妙な生物は、民衆を見渡して言った。
「私ガ来タカラニハ安心シロ」
異様な雰囲気を纏う奇怪生物に、人々は警戒心を強める他なかった。
その人ごみを掻き分けて奇怪な生物に近づく人影があった。
褐色の肌にサラサラと風になびく金髪……しかし、この寒さに似合わないサーフボードを携え、海パン一丁の変態紳士だった。
因みに、この近くに海はない。
そして変態紳士は、トリプルアクセルを華麗に決めながら救世主の元へと躍り出てこう言った。
「我こそは勇者!
地球の平和はわたしが守るのだ!!」
変態紳士の背には冷たい視線がつきささるが、当の本人はお構いなし。
「猫耳ウサ尾、おまえは何者だ?
名を名乗れ!
いや、人の名をたずねる時は自分から名乗るのが礼儀だな!
わたしの名前は”マリンちゃん”だ!!」
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