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【一】
午後の2時を少し過ぎた頃。坂倉凪斗は目を覚ました。
少し頭痛がし、身体の怠さを実感する。
昨日の麻雀。結果は最高の出来だったが、やはり肩に力が入っていたようだ。
もう一眠りしようとフローリングに敷いた薄い布団に身体を預け、目を閉じた。
『おい。』
ナギは声を出した人物へと顔を向ける。
忘れていた。この部屋は昨日から1人きりでない事を。
それが若くて可愛い女性ならどんなにいいだろう。残念ながら目の前にいるのは若くもなければ女性でもない。
自分の親よりも年配のオジサンだ。ある意味死んでいる事は救いだと言える。
生きているオジサンとこの狭い1Kに一緒に住める筈がない。
「そうだったね、オッチャンおはよう。」
その声のテンションの低さは寝起きだからというわけでもなさそうだ。
『おいおい、こっちだって好き好んでこんな狭い所に来たわけじゃないんだ。』
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