緩急剛柔

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          【一】 バタンッ! 駐車場に赤いRV車を停め、閉めたドアが激しい音を立てる。 高い建物に囲まれているからか、強めの風が突風のように吹き荒れている。 「うえぇ。」 キャップが飛ばされないように頭を押さえ、キョウジは変声を発した。 午後の9時過ぎ、朝7時から仕事をしていたキョウジは仕事終わりに直でここへ来た。 上崎恭二。年代はナギやヒロヒトと同じだが、大学には行かず社会人として働いている。 今日は“ジョーカー”ではなく、“麻雀あさひ”という雀荘。 レートが高く、マナーにも厳しい事で有名な店だ。それはいい事だが、常連びいきの店で若者が足を向けない。 そんな疲れそうな店に、12時間以上の労働をした後にも打ちに来るキョウジの麻雀好きが伺える。 もしくは勤務中よっぽど仕事をしていないかのどちらかだろう。
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