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ちこから連絡が来たのはちょうど帰ろうとしていた時だった。
歩いて三十分もしない距離をタクシーで帰ろうとする悟を馬鹿にしていた時、ちこからの電話があって、拓郎はそのまま同乗した。
「何乗ってんだよ」
悟が文句を言ってきたが、拓郎は運転手に鈴森神社へ急ぐように伝える。
運転手も困った顔をしたが、
「早く!」
拓郎の気迫に運転手は急いで走らせ、悟も黙った。
「佳奈美ちゃんに黒竹箒のこと任せてたの?」
「調べさせてはいたが、まだ何かをするようには言ってない」
拓郎の言葉に悟は言葉を返し、そして気が付いたようだ。
「篠原の奴が何かしたのか?」
「ホウキさんに取り憑かれたみたいだよ。それで暴れちゃってる。上司が言う前に上司の思っていることをする。優秀な人だよね」
「・・・」
拓郎の皮肉に悟は黙った。
その様子を見て、拓郎はまたニコニコと笑顔を見せる。
「笑っていられる状況なのか?」
「笑って福を呼んでおかないとね。佳奈美ちゃんは透君を呼び出して殺そうとしているみたいだから」
「なっ・・」
悟はそう漏らし、表情を固める。
見る見るうちに顔が蒼白になっていく。
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