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佳奈美は黒竹箒をいじりながら、悟の方を見て、
「東山君、ちょうどいいところに来てくれたわ。今、貴方にとって最も邪魔な存在に消えてもらうところなの」
「馬鹿なこと言うな!早くやめさせろ!」
佳奈美の言葉に悟が怒鳴り返す。
その瞬間、狂った笑顔を浮かべていた佳奈美が一瞬にして無表情になり、そして憎々しげに悟を睨みつける。
「『馬鹿なこと』?貴方誰にそんな口きいてるかわかってるの。弟に振り回されっぱなしの駄目な坊やが、ちょっと出来が良いからっていい気になってんじゃないわよ」
佳奈美の豹変ぶりに悟はひるむ。
「佳奈美ちゃんはどうやら、悟君に否定されてかなり御立腹のようだ」
拓郎はやはりニコニコ笑顔で悟と佳奈美の間に入った。
佳奈美のその強気で強情そうな瞳に睨みつけられて、がっかりがわくわくへと変わる。
「カワホリさん。クロタケさんの鈴を見つけてきました」
そこにちこが鈴を持って現れる。
「アフグさん、ヒオウギ君、佳奈美ちゃんの動きを止めるのを手伝ってください。どうも、佳奈美ちゃん何かしらの武道をやっていたみたいで、動きが良さそうだ」
「ぼ、僕には何もできないよ」
「さっき扇いだが効果がなかった。筋肉を凍らせればいいのか?」
ヒオウギはぶんぶんと首を振り、アフグは少々むごいことを言ってくる。
筋肉を凍らせたら佳奈美ちゃんがかわいそうだ。
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