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一息に三人からの告白されたホウキは、恥ずかしさのせいかパタパタと無駄に腕を動かす。
その仕草はとても可愛い。
だが、完全に自分の告白を流されたせいで、その光景を見ても透は素直にホウキの可愛さを堪能できない。
そして、そんな透の心情を察しているアフグは体を震わせ、ついには堪えきれなくなって大爆笑した。
「私もね、」
透が果てしない苛立ちにアフグを殴ってやろうか思ったとき、柔らかく優しい拓郎の声がした。
拓郎を見れば、彼もホウキ達をいつものニコニコ笑顔で見つめていて、
「私も、愛してますよ、」
拓郎はくるっと視線を変えて、
「佳奈美ちゃん」
「ドサクサにまぎれて言ってんじゃねぇよ!」
「消えろ!」
アフグが怒鳴り、ホウキが黒竹箒に手をかける。
「ま、待って、クロタケさん。あれを掃き祓ってほしいけど、黒竹箒にまだ鈴付けてない!」
「それはまずい。あれの邪心やら欲やらが溢れたら、どうなるかわかんねぇぞ!」
「透、篠原、ヒオウギ、とにかく、その変態から離れておけ!」
「・・て、腕に包丁刺さってますよ!救急車呼ばなきゃ!・・」
拓郎の発言でこの場はドタバタと騒がしくなり、何だかもう、大爆笑していたアフグでさえ透の覚悟を決めた告白の事なんてさっぱり抜け落ちたみたいで、
「ああ~!くっそぉ!」
透はやけになって叫んだ。
でも、何だかんだ言って、皆笑っていたんだ。
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