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「しかし、鈴森神社なくならなくてよかったな。ホウキにとっちゃ死活問題だからな」
アフグはホウキを蝙蝠扇でパタパタ扇ぐ。
「鈴音がホウキのために用意した土地が無くなんなくて、よかった、よかった」
そんなアフグの言葉にちこは首を傾げ、
「鈴音様はカワホリさんのためにも鈴森の地を用意したんじゃないんですかね?」
「はぁ?涼しくさせるのが仕事の俺がここで何するんだよ。ホウキがいなかったら俺必要ないじゃん」
ちこは少し考えながら、
「カワホリさんは働きたがりですよね。でも、だからこそ、カワホリさんが働き過ぎないように、カワホリさんも休めるこの鈴森の地を鈴音様は用意したのだと思いますよ。夏に働き、冬に休む。それが蝙蝠扇の本来の姿ではないですか」
「・・・ったく、余計なお世話だよ。冬もちょくちょく使われているしな」
アフグは鈴音を小馬鹿にした雰囲気で、少々遠くを見ながらつぶやいた。
ちこの夏休みももうすぐ終わる。
だけど、まだまだしばらくは暑い日が続きそうで、
だけど、やっぱりこの鈴森神社にはスズしい風が吹いていた。
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