鈴森神社

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      ◆ 「あの人たち誰なの?」  ちこは足早に去って行った男女の後姿を見ながら、父である拓郎に聞いた。 「篠原佳奈美さんと、確か・・えーと、東山(ひがしやま)、悟さんだよ」  拓郎は、女性の名前は直ぐに出したが、男性の方はもらった名刺を取り出してやっと名前を言った。  その仕草だけで、ちこもアフグもホウキも嫌な表情を浮かべる。 「で、何のようだったんだ?」 「この土地に工場を建てたいんだって」 『・・・えぇ?!』  三人が驚愕と混乱の表情を浮かべ、それに拓郎はニコニコ笑顔で言葉を続ける。 「もちろん、建てさせるつもりはないから、安心して」  それにちこはほっと息をついたが、アフグとホウキはちこと比べられないほど安堵のため息と表情を浮かべた。 「だけど」  拓郎がニコニコ笑顔を少し弱め真剣な目をし、それに三人は緊張する。 「だけど、これで彼らが引くわけないうえ、うちの所有地はこの神社周辺であって鈴森全部ではない。だから、警戒はしておいた方がいいだろう。それに・・」  拓郎の目がさらに真剣さを増し、三人は生唾を飲んで次の言葉を待つ。
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