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確かにもっともらしい。
そう思いながら、透はこの話の流れで、さりげなく、本当にさりげなく聞いた。
「それじゃぁ、ホウキとかが付けてるのもこのお守りなのか?」
「同じじゃないけど似たようなもんだってカワホリさんが前に言ってたよ。何でも黒竹箒と蝙蝠扇専用の鈴だって」
「蝙蝠扇?」
耳慣れない言葉を彼は反芻する。
黒竹箒はホウキが持っている黒い竹箒のことだろう。ということは、
「あ、そっか。普通は知らないんだね。蝙蝠扇っていうのは、カワホリさんが持っているあの扇子の名前だよ」
ちこはそう言った後、急ににやにや笑い出し、
「何ならカワホリさんにこの神社の事とか蝙蝠扇と黒竹箒の話を聞いてきなよ。透君の好きそうな話を教えてくれるから。私が言うよりもきっとカワホリさんから聞いた方が面白いと思うんだよねぇ」
自分の好きそうな話?
透は小首を傾げてから、彼女が自分を中二病扱いしていることを思い出した。
つまりアフグに、いわゆるこの神社や蝙蝠扇、黒竹箒の言い伝え的な話を聞いてきたらどうかと、ちこは提案してきたようだ。
中二病扱いは癪だが、確かにそれらについての話を聞いてみたい気がする。
それにこうやってこそこそあの二人について聞いて回るよりも正々堂々と向かいあってこそ男だと思い直し、
「・・わかった。行ってみる」
「いってらっしゃ~い」
ちこの言葉に背を押されながら、透はアフグとホウキのところに向かった。
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