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「よそ者が、こっちに来んじゃねーよ!」
「うぉっ?!」
一人の少年が叫びながら透の足を蹴ってきた。
何とかそれをよけると、今度は叩いてこようとして、
「ぎゃっ!!」
少年が吹っ飛んだ。横に吹っ飛んで石畳の上を転がる。
アフグの横にはさっきまでだらしなく寝転がっていたホウキが、今は黒竹箒を大振りした後のポーズで止まっている。
容赦なかった。
ホウキは小学生相手にも容赦することはなかった。
あの黒竹箒は普通じゃないから、竹箒による打撃自体の痛みはないだろう。
しかし、あんなに思い切りよく石畳を転がれば、どこかしら打ち身にはなっているはずだ。
少年は転がらなくなって止まると、何も言わずにおもむろに立ち上がる。
服はさっきも汚かったが、今はさらに汚れてしまっている。
そして彼はグシグシ泣いていた。
「何でこんなことしたの?」
アフグが優しい口調で聞くと、少年はグシグシ泣きながらも素直に答えた。
「だって・・ホウキもアフグも・・おれたちと遊んでるのに・・こいつが横取り・・しようとするから・・」
本当に素直だと思った。
違う場所で同じような経験をしたことがあるが、その時の少年はそっぽを向いて逃げて行ったのに。
「そっか。でもね、どんな理由があってもね、仲間はずれも暴力もしちゃいけないんだよ。わかった?」
「・・うん」
アフグはホウキのたった今の暴力は棚上げして少年を諭し、少年は何の疑問も感じてないらしくうなずいた。
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