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アフグはさっきから、まるでその現場を実際に見てきたように話しているのだ。
「一応聞くが、それっていつぐらいの話なんだ?」
「いつ?・・いつだったかな?」
アフグは困った様子でホウキの方を見、
「千年は前じゃなかったか?」
「確かそれぐらいだよな。俺たち時間の感覚がマヒしちゃってるからよく覚えてないけど」
からかわれているのか?
でも、からかわれているとしたら、鈴音が陰陽師という件からだろうか?
それともあくまで言い伝えをそれっぽく語り、自分たちの存在を入れるという脚色を加えているとか?
普通なら言い伝えに脚色という考え方をするだろう。
でも、あの黒竹箒は普通じゃない。
「ホウキはタケボウキでバーンと、アフグはセンスでビューンって悪い奴をやっつける手伝いをしたんだよね!ね!」
小学生の一人がキラキラとした、憧れの目でホウキとアフグを見つめる。
寝転がってだらけきっているホウキと、そんなホウキをずっと扇ぎ続けているアフグ。
その姿に憧れの要素などどこにもないが、それでも彼らは小学生たちの羨望の眼差しを受けており、やっぱり洗脳されているのだと透は思う。
そう思ってしまうと、自分も『あの黒竹箒は普通じゃない』と思い込まされているような気がして、なんだか全てが胡散臭くなってくる。
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