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アフグがニタニタとした笑いを浮かべながら言うせいで、本心なのか、からかっているだけなのかわからない。
ホウキの正体をはっきりさせたいのに。
透が他にも何か聞き出そうと口を開いた時、
「みんなー!木田のおばちゃんがスイカくれたから食べよー!」
売り場近くからのちこの呼び声に、小学生たちが歓喜の声をあげて駆けだす。
「透君も早くいかないとなくなるぞ」
「え?」
ちこの『みんな』の中に自分も入っているとは思ってもいなかった透は、アフグの言葉にきょとんとする。
「木田さん家のスイカはうまい」
「はぁ・・」
誰だよ、木田って・・・
透が困惑していると、立ち上がってこちらを見下ろしていたホウキが口を開き、
「何だ、お前は食わねぇのか?」
誘われた?
「食う!」
「なら、行くぞ」
透は勢いよく立ちあがるとさっさと歩きだすホウキを追いかけた。
そんな彼らの後ろでアフグが声を出さずに大爆笑していたが透は全く気付かなかった。
「今お父さんと木田さんが切り分けているから、ここで待っててね」
ちこがそう言って、昔ながらの日本家屋の縁側に小学生たちとアフグ、ホウキを待たせて室内へ消えていこうとする。
透もそこで待っていようとしたら、
「お前も手伝いに行けよ」
ホウキにあの黒竹箒で尻をはたかれた。
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