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「邪魔だ、ガキが」
「・・・」
邪魔なのはお前らだろ。
その言葉を吐き遺して去っていく男たちの背を、透は冷ややかに見送る。
「大丈夫かい、透君」
「・・・別に」
「今日はずいぶんと暗いね。なんか嫌な夢でも見たの?」
アフグが透に絡んできたが、無視してさっさと帰ろうとすると、
「あれ?これから一人でお弁当?」
透はさっと弁当屋の袋をアフグの視界から隠すように持ちかえる。
「うちもね、今日弁当なんだ。うちで一緒に食ってく?」
透は歩みを止めずに弁当屋の前を過ぎていく。
アフグは弁当屋の前で足を止め、遠ざかっていく透の背に向けて、
「ホウキもいるぞー」
「なっ、何でそこでホウキの名前が出るんだよ!」
気付けば透はアフグに詰め寄っていた。
アフグは腹立つほどの笑顔を浮かべていて、
「今買ってくるから、ここで待ってな」
「な、なんで、なんで・・」
俺、ここで待ってんだろ・・
透は結局、アフグが弁当を買うのを待って、一緒に鈴森神社に歩きだす。
そう言えば、アフグの見た目は兄と同じぐらいだ。
最後に兄の隣で一緒に歩いたのは何年前だろう。
なんだか不思議な感じがする。
「あの二人の喧嘩が演技だって、よくわかったな」
兄の面影を払うように透はアフグに話しかける。
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