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「そんじゃ、その鈴とか、ホウキの髪に付けられている鈴は・・」
「俺のは今で言うペットの首輪ってところかな。鈴音の所有物の証だよ。ホウキにとってはもっと大切でさ、あの頃に戻らないように自分を縛りつけて抑え込むための鈴なんだ」
二人は石段の前までやってきて、石段を上り始める。
スッと冷たく気持ちよい空気が、ここまでくる間にかいた汗を冷やしてくれる。
「一応聞いておくが、あの頃ってのは千年以上前の話なんだよな」
「やっぱ、透君は呑み込みが早いね。透君自身何か能力持ってんでしょ?」
「・・・・・・」
透が答えないでいると、アフグが言葉を続ける。
「この町で育ったわけじゃないのに俺たちの事をすんなり認めるのは、そいつに何かしらの経験や能力がある場合が多いからね」
「・・・ただの中二病だよ」
さんざん否定してきた言葉で彼はその場をごまかした。
アフグは透の言葉に小首を傾げてから、
「それは・・・」
「暑苦しいんだよ!」
アフグが何か言おうとした時、ホウキの怒声が響いた。
透がうつむけていた顔を上げると、石段は残り数段で石畳や社が既に見えている。
そしてそこには、ちこの友人であろう女子高生二人とちこがいた。
その三人の前には、金髪茶髪にピアスや指輪などのアクセサリーを無駄に付けた、いかにもチャラそうな男が二人いる。
そのうちの一人は石畳に尻もちをついていて、そんなチャラ男たちと少女たちの間にホウキが立つという状況。
その場で何が起きているのかは何となくわかった。
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