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拓郎はやはりいつものニコニコ笑顔のまま、
「彼は早々に潰しておく必要がある」
言い放つ。
「やっちまえ!拓郎!」
「お、お父さん?」
「警察とか、裁判沙汰にはするなよ」
ホウキが愉快そうに笑い声を立てて拓郎を煽り、拓郎のいつもの笑顔なのに雰囲気の違いにちこは戸惑い、そしてアフグが困ったようにつぶやけば、
「アフグさん、心配しないで。自分の弁護は自分でできるから」
拓郎の余裕のほほえみにアフグは苦虫をかみつぶしたような表情になる。
この拓郎の話を知らないちこが、驚いてはいるが尊敬のまなざしで拓郎を見つめてきて、
「え?お父さん、法律に詳しいの?」
「まぁね、訴えられても家族や周りに迷惑かけないために、勉強してきたから」
拓郎の答えに、ちこも何か違和感を察したのだろう。尊敬のまなざしが少し不穏な色に染まる。
「訴えられるって、誰に?」
「お前の母さんとか、今だと佳奈美ちゃんとか?」
「・・・・・」
拓郎の即答に、その場の空気が一瞬凍る。
「そ、そんな昔から、お父さんは変態だったの?」
「訴えられるような接触の仕方はやめろって何度言えばわかるんだ!」
「だが、そんなギリギリの攻防がなければ、今ちこは産まれていないんだぞ?」
「そんな話聞きたくない!」
そして、やはり拓郎は、ホウキの黒竹箒に掃き飛ばされたのだった。
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