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「こ、これ、何が起こってるの?」
「ホウキが佳奈美に捕まったんだ。取り憑かせられてるんだよ。ああなったらもう、ホウキにも佳奈美にもどうにもできない。俺たちが無理やり引き離さなきゃどうにもならない」
現状を理解できずパニックを起こしているちこを背にかばい、アフグは佳奈美を睨みつける。
百年に一回くらいは、黒竹箒を利用しようとする輩にホウキは取り憑かせられてしまう。
ホウキにはどうしようもない。
黒竹箒を奪われ、鈴を取られてしまえば、憎悪から生まれたホウキはその想いを抑えられない。
そして黒竹箒を奪った人間の負の感情を爆発させてしまう。
場合によっては、すぐにホウキを取り戻してこの場を簡単に治められる。
だが、下手して取り逃がしたり、ホウキが奪われたことに気付くのが遅ければ、村の一つや二つ壊滅させられてきた。
今回は佳奈美がこの場に留まってくれたことや、鈴森神社に向かっていくヒオウギの姿が目に入ってもちこに無理やり家に帰らされたことが幸いした。
発見も早くこの場だけで抑え込めそうだ。
アフグがどうやって佳奈美からホウキを引き離すか考えを巡らせているところに 、
「な、何言ってるんですか、カワホリさん?クロタケさんが取り憑くだなんて、今そんな冗談言ってる場合じゃな・・」
「はぁ?!何言ってんだは、こっちのセリフだ!ホウキは意味わかんねぇ理由付けられて殺された女の怨霊だぞ!」
ホウキとアフグの存在を否定するかのようなちこの発言に、アフグは怒鳴った。
今はそんな話をしている場合ではないのだ。
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