想いよ届け

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 自分と同じ姿形で、だけど、自分にはない華やかさと美しさがあって、自分よりもはるかに重宝され、姫様に愛でられた。 「僕は蝙蝠扇と違って、こんなにも華やかなんだ。もっともっと、皆僕を見て、僕を愛すべきだ」  ヒオウギのその言葉に、アフグは悲しみを押し殺すような声で呟く。 「お前は・・もう一人の俺だ・・」 「違う!僕は捨てられた蝙蝠扇とは違うんだ!」 「お前は、もう一人の俺だ!」  ヒオウギの怒鳴り声に、アフグも叫び返した時、  パシンッ  頬を思い切りよく挟まれた。  ちこの姿がアフグの視界に入る。  彼女はアフグの頬を両手ではさんでいて、彼女の手が触れている場所がひりひり痛み始める。 「カワホリさん。しっかりしてください」  ちこがまっすぐアフグの目を見つめて言い、アフグは今の状況を思い出す。 「そう、だな。今はホウキを何とかしなきゃ・・」 「違います。しっかりヒオウギさんを見てあげてください。そして、カワホリさんとヒオウギさんは違う存在なのだと認めてください」 「・・・・・」  ちこにまっすぐ見つめてそう言われ、アフグは何も言うことができなかった。  ちこは認めろと言う。  ちこには全部話した。  檜扇と蝙蝠扇のことを。  ちこはもうアフグが蝙蝠扇の実体であることもきちんと理解している。  その上でちこは認めろと言うのだ。 「ちこは、俺がまだ使えるのに、必要ない存在だとされたことを認めろと言うのか?」  蝙蝠扇が、作りの親にすら不必要だとされたことを。
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