捨てられて落ちて

10/10
前へ
/181ページ
次へ
「にしてもすげーなこの戦艦。」 全スペックを発揮すれば世界を三回は滅ぼせるだろう。 「だけどこれを使う前に文明は滅んだのか……。」 ムノの記憶には、このユグドラシルや他の艦が造られた時に世界が【ナニ】と戦っていたのか、そして結果としてどうなってしまったのかが刻み込まれていた。 「勇者が倒したっていう魔王は下っ端も下っ端だったって訳か。」 自嘲気味に口元を歪めたムノはディスプレイを操作して旗艦ユグドラシルの内部状況を確認して行く。 「艦自体の動力は永久機関だから暖房とかの心配はいらないみたいだな……げっ、食糧がない!! とほほ、暫くはヒカリゴケが主食か……。」 栄養価は高いが限りなく無味で食感もないヒカリゴケのみで過ごすこれからを考えて本人はユグドラシルが不要な情報として記憶領域に送らなかったため知らないが、実は食事も必要としない身体になったムノはため息をついたのだった……。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8323人が本棚に入れています
本棚に追加