山月海舟

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「ふーん、こいつは結構強いみたいだな。」 「あら、ずいぶん余裕ねムノ。」 そう言いつつミラはムノのトランプからカードを一枚取って自分の手札から一枚抜いて捨て場に置く。 「アルフヘイムのボスはあれより強い自信があるからな……げっ。」 ムノは幽獄騎士からカードを一枚抜いて顔を引きつらせる。 「ムノ、敗者は罰ゲームよ?」 「……あい。」 幽獄騎士がミラからカードを一枚抜いてあがり、ついにミラとムノの一騎打ちになる。 もっとも勝負はついているようなものだが。 サーペント・マングローブは進む、己の主の命令に従い、このダンジョンのマスターを殺すために。 と、サーペント・マングローブの前に立ち塞がる影。 それはサーペント・マングローブと同じく長い節のある身体をカキカキと鳴らし、とぐろを巻く機械じかけの緑の百足。 アルフヘイムのボス、百足雷天である。 サーペント・マングローブは今までに弾いて来たゴーレム達とは格の違う敵に威嚇するが、百足雷天は動じない。 先に動いたのはサーペント・マングローブ。 全身の筋肉を使って突撃、その牙で百足雷天に襲いかかる。 だが後手のはずの百足雷天は一瞬でとぐろを解くと、巧みにサーペント・マングローブをかわして逆にサーペント・マングローブを締め上げる。 「キシャ、シャアアアアアァァァァァァア!!」 だが長さはサーペント・マングローブの方が上、さらに百足雷天を尻尾で締め上げる。 ピピッ! 【トランスフォーム】 直後、サーペント・マングローブが突如発生した雷に吹き飛ばされる。 「シュルルルルル……!!」 そこにいたのは百足などではなかった。 スマートな直線のボディーに同じく流線状の手脚。 背には百足だったころの節が幾つも太鼓のように輪になっており、手には鋼鉄の鉄鞭が。 その姿はまさしく雷を司る神の姿であった。
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