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「ヒッカリッゴケー♪ヒッカリッゴケー♪今日のメニューはヒッカリッゴケーの♪
サラダ一択……ハァ……。」
ため息をつきながらヒカリゴケをもしゃもしゃと咀嚼するムノ。
パーフェクトボディになってから三日、合計十二食ヒカリゴケの生サラダという拷問を受けているムノはタンパク質を懐かしく思いながら食事を済ませていた。
これでも頑張ったのだ。
なんとかあの不毛なヒカリゴケの食感を変えるべく、圧縮したり焼いたり蒸したり煮込んだり潰したり擂り粉木で粉末にして水に溶かしてみたりもしたのだが、何故か結果的に元の食感に戻るという結論に至ったのだ。
「なんで農業区画もキッチンも冷蔵室もあって食材がないんだよ……うぅ、味がしない。
塩が欲しい……砂糖舐めたい……カモンタンパク質ぅぅぅぅう!!」
うぅー……ぅぅー……ぅー……
ムノの叫びが旗艦ユグドラシルに虚しく響く。
「あ、そうだ。」
ヒカリゴケの調理方法を考えるのですっかり忘れていた、あの箱をムノは思い出した。
「食糧……は、ないな。
何が入ってるんだ?あれ、てか何処に置いたっけ。」
暫く探して、すぐ隣に置いてあった事に気づき灯台下暗しに少し凹みつつも箱を調べる。
「えー……あっ、ここをこうして開けるのか。」
ムノが箱を開くと中には……
赤子の拳程度の大きさの真っ黒な水晶と、一冊の薄い本が入っていた。
本のタイトルは【ダンジョンキット取扱説明書】
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