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「【Llama explosion Panther Fang(爆発する炎豹の牙)】。」
ミラが唱えた魔術により創り出された炎の豹がムノに襲い掛かる。
その牙をムノは体を捻って避ける。
「スレイプニル起動。」
その言葉と共にムノの足、膝から下が人ならざる鋼鉄の脚となり更にそこから足首に一つ、踵に一つ、脛に二つの片足に四つ、合計八つのブースターが生えていた。
よく見ればムノはわずかに浮遊していた。
そこから存在し得ない漆黒の炎が噴き出し、ムノの姿がミラの視界から消える。
「どこ!?」
「ここだ。」
次の瞬間、豹の前脚が見えざる刃に切り離される。
そして豹から100メートルほど離れた場所に双腕を刃にしたムノが現れる。
「凄いわ、私が見失うなんて!」
「まだ直線にしか動けないけど練習すればもっと複雑な動きも出来るな、それにこのスレイプニルはニーズヘッグと相性がいい。」
瞬間移動に届かん速度から繰り出される不可視の刃、この二つは刃に耐え得る強度か瞬間移動でもできなければ対抗不可能だろう。
「格闘戦なら幽獄騎士がいるけど魔法戦はミラくらいしか相手がいないからなぁ。」
「ムノ、魔法戦じゃなくて魔術戦よ。
私も魔女のはしくれ、そこはちゃんと訂正しないと。」
魔術と魔法、これは似て否なるものだ。
魔術とは人ならざる者のみに許された世界の力を使う術。
それに対し、魔法は人ならざる力を人が扱えるように整備された己の力を使う方法。
覚える難易度も顕現する力の差も天と地ほどの違いがある。
実際のところ、先程ミラが創り出したような形を持つ炎は魔法では作ることができないだろう。
仮に形は似せることはできても生物のように動くことは無い。
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