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「訂正なさい。」
「ひっ!」
先程までの幸せにふやけた顔はなりを潜め、メーニャに向けるミラの表情は憤怒と殺意で彩られていた。
「確かに男はろくでもないのが多いわ、それは認めましょう。
でもムノを悪く言うなら……次は無い。」
ミラは狼を消すと、スタスタと歩き去って行った。
それと同時にぺたん、と尻餅をつくメーニャ。
「今のって……」
「……魔法じゃぁ、無かったですぅ。」
「華炎の魔女様にお知らせしないと。」
「ふぅん。」
市場と思しき場所を歩くミラはこの国には本当に女しかいない事を再確認していた。
「力仕事は全部魔法任せなのね……。」
それなら人の手で作った街並みよりもしっかり整備されているのも頷ける。
「それに交通手段は箒なのね、何でかしら?」
ミラ自身は宙を舞う魔術を習得しているので必要ないので知らないが、魔法の場合は何か媒体がなければ空を飛ぶ事はできない。
「ムノ、早く来ないかしら?」
彼女は待つ、愛しい夫の迎えを。
「ここから二百キロ先に反応あり、か。
なんかシールドが張られてるみたいだが……俺一人くらいなら気付かれずに通過できるか。」
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