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「さて、ミラはどこに……うぉっ!?」
表通りへと歩き出そうとしたムノの左足首を何かが掴む。
それによって思いきりつんのめるムノ。
「いて……何だってんだ。」
「うぐ……出たら、駄目だ……。」
ムノの足首を掴んだものの正体、それは全身血みどろでひしゃげた【男】だった。
「………カツアゲにでも遭ったのか?」
「ちが、う……魔じ、ょの……警び、隊……!!」
「あ?」
次の瞬間、ムノに襲いかかる氷の塊。
それはムノにぶつかった瞬間、ムノを呑み込み巨大な氷の彫刻になる。
「冷たっ……!だいじょ、ぶか……!」
「あらあらあらら、ホント男ってゴキブリみたいにしぶといわぁー。」
路地裏に降り立つ青い装束の魔女。
上空にはさらに五人、青い装束の魔女が箒に乗って滞空していた。
「さてと、これでおしまい♪」
降り立った魔女が再び頭上に氷の塊を作り出す。
そしてそれを満身創痍の男に落とした。
飛び散る血飛沫、哀れなその者は断末魔さえあげることも叶わず息絶えた。
「全く、いきなり何だってんだ。」
頭上の氷ごと縦に切り裂かれ開きになった魔女を見下ろしながらぼやくムノ、彼を捕らえていた氷の彫像は、初めから無かったかのように消失していた。
その足、スレイプニルからは薄く煙が昇っている。
ムノは氷の中で僅かにスレイプニルを発動し、その熱で氷を消し飛ばしたのだ。
「あと五人か。」
ムノは無造作に右手を振るう。
すると、上空の五人の魔女の首が飛び、上半身と下半身が離れ、箒ごと縦に、横に、斜めに割れた。
「さて、事情を聞こうか。」
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