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この広間に漂うやけに甘ったるい香りはミラに不快感をもたらし、不規則に揺れる蝋燭の炎はミラを無性にイラつかせる。
その拷問に耐えること十分。
イライラが最高潮に達しようとしていたその時、扉が開き一人の女性ともう一人、側付きと思しき少女が入ってきた。
全裸で。
いきなりの変態に反応できず固まるミラ。
それを満足げに見た女性はゆっくりとミラに近づくと、ミラの服に手を掛け……
「私を脱がせていいのは三千世界を巡れどただ一人のみよ。」
ミラの身体強化魔術によって一時的にムノの三割程度にまで強化されたビンタが女性をはたいた。
爆竹の爆ぜる様な音を顔から立てた女性は口から白い歯を砕き散らせながら吹き飛んで行く。
そしてそのまま柱を砕いて壁にヒビをいれて床に落ちた。
「何なのよもう。」
「ば、ばふぁな!?」
歯が砕かれたためふがふがと喋る女性。
「なんふぇさいみんまふぉうが効かないの!?」
「さいみんまふぉう?……あぁ、催眠魔法。」
どうやらあの甘ったるい香りもやたら多い蝋燭も全て催眠にかけるための道具だったようだ。
おそらく感覚を麻痺させた状態にし、脳に直接魔力を流して自分に忠実にさせようとしたのだろう。
そして彼女は全裸の自分を見て固まったミラを見て、催眠魔法が成功したと勘違いしたのだろう。
「子供騙しね。」
それに、魔法の基本的な原則として【格下の魔法使いは絶対に格上の魔法使いには勝てない】。
それが魔術使いならば魔法使いが勝てる確率は万に一も無い。
それほどまでに魔法とは奥深く、魔術とは魔法を超越しているのだ。
「いふぁいぃい……誰か!誰か!!」
女性の呼びかけで扉が勢い良く開き、そこから鎧の魔女達が突入してくる。
「華炎様!!」
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