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少し時間を戻そう。
ムノが青い装束の魔女たちをカットしていたころ、ミラは地下牢に入れられていた。
「この牢には魔法無効化魔法がかけられている、逃げることは不可能だ。」
そう言い残して鎧の魔女のリーダーは地下室から去って行った。
「へぇ……魔法無効化魔法……じゃあ試しに。
【Flecha de oracion Tejo Archer(イチイの射手の祈りの矢)】。」
ストン、と軽い音を立てて見張りの魔女の首が飛んだのでどうやら魔術は無効化できないようだ。
まったくもって滑稽な檻である。
「貴女は一体……?」
と、その時ミラに話しかける者が。
音源はミラの向かいの牢の中にいた幼い少女。
その背は小さく、ともすれば年齢一桁だろうか、しかし彼女から出る雰囲気はもっと大人びた気配を感じさせた。
「あら、お向かいさん?」
「えぇ、まぁ……。」
牢の中だというのにあまりにフランクに話しかけてくるミラにたじろぐ少女。
「貴女、お名前は?」
「フェナ、と申します。
こんな姿ですが24歳です。」
「成長期に置いていかれたのね……。」
「哀れみの目で見ないでください!!違います!不老不死の研究に失敗しただけです!!」
哀れみの目をしていたミラの表情が疑問の顔になる。
「不老不死?魔女は基本的に不老不死でしょうに、何故そんな研究を?」
そう問うとフェナは少し顔を赤らめながら、
「こ、恋人にその魔法をかけようとして……。」
と、答えた。
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