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見つかると面倒なのでさっさと侵入することにする。
ムノはニーズヘッグを地面に突き刺す。
すると、螺旋回転するムノの手首は石造りの地面を容易く貫き、穴を掘り始めた。
五分後、そこには地下まで続く縦穴トンネルが完成していた。
「さて、行くか。」
ここまで来ても一応トルスを持って来ている自分を心の中で褒めながらムノは穴へと飛び込んだ。
華炎の魔女リリーは地下へと続く階段前、丁度一階の地点でへたり込んでいた。
先ほど地下牢へ捉えた絶世の美女、それを己の虜にするべく向かう途中だったのだ。
リリーにとって女とは自分を着飾るドレスであり、男はゴミだ。
リリーは幼い頃から常々思っていた。
何故神は男などという汚らしい存在を作ったのかと。
そしてリリーは自分が魔女だと分かった時、喜んだ。
魔女とは不可能に挑む挑戦者であり、そのためなら神の定めたルールすら破る者、その一員に自分も加われたのだ。
リリーは自分を捕まえようとした村の男達を村に一冊だけあった魔法書に書かれていた炎の魔法で皆殺しにし、ただ一人村を去った。
十二歳のことだった。
それから二十五年、ついにリリーは女同士でも子供を作れるようになる魔法を完成させた。
そしてリリーは迫害されていた魔女達を救い出し、集落を作り、街を作り、遂に国とまで呼べるウィッチィードを作り上げた。
四十歳の時であった。
そんな折、彼女が現れた。
人が扱えるはずのない魔術を自在に扱う魔女にして銀髪の絶世の美女。
その存在を知った瞬間、リリーには二つの欲求が湧き出した。
即ち嫉妬と支配欲。
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