魔女の国

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「わひゃぁぁあ……!?」 着弾点から遠く離れた場所にいるムノ達にも突風が襲いかかる。 それによってフェナが飛びそうになっていたがトルスが何とかフェナの手を掴んでいた。 「ほら、ミラは結界を張り直さないと。 折角軍勢を潰したんだ。」 「えぇ……ムノ、私のわがままを聞いてくれて本当にありがとう……。」 「気にするな、こんくらい屁でもないさ。」 フッ、と笑うムノを熱い眼差しで見つめていたミラはそこらへんに落ちていた木の枝で地面に魔術陣を書き込む。 「【Copia espejo de tortuga de almizcle(鏡写しの甲羅亀)】。」 ミラがそう唱えると魔術陣から光が飛び出し、その光はウィッチィード全体を囲むように繋がる。 そしてひときわ大きく輝いたかと思うと、エメラルドグリーンのドーム状の結界が張られていた。 「地脈から魔力を供給するから張り直す必要も無いわ。 やっぱり無理やり連れてこられたとはいえ彼女達も私と同じ魔女ですもの……ただの人間風情に蹂躙されるのも癪だわ。」 ミラはそう言って結界を張り終えた。 「……じゃあ、帰るか。」 「ええ。」 「あの!」 と、ここで水を差すようにフェナがムノとミラに話しかける。 「貴方達は一体、何者なんですか?」 その問いに対し、二人は顔を見合わせてからニヤリと笑いこう言った。 「俺はダンジョン無敵艦隊艦長ムノ=レガス。」 「私はその妻ミラ=レガス。」 「「以後お見知り置きを。」」 二人が一礼した瞬間、ユグドラシルが二人を転移させ、その場から二人は忽然と消えた。 「え……?え?」 「夢?いや確かにビンタされたし……?」 あとに残ったのは狐につままれたような顔をしたフェナとトルスだけだった。 この時、ミラが結界を張り直したのを見ていた一人の魔女がそれを他の者へ伝え、それにどんどん尾ひれがついていき、後にウィッチィードでは破壊と守護の象徴として【黄昏の魔女】という存在が恐れ、崇められるようになったのだがそれはまた別の話。
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