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「おう。」
「それでは早速学園の方へと参りましょう。」
「もうか?」
「えぇ、ダンジョンマスターとて多忙の身。
ダンジョンマスターの都合がつき次第学園では直ぐに実習授業になるのです。」
別にほぼ毎日暇してるのだがそれは言わないでおく。
他のダンジョンと違って無敵艦隊を訪れる者など皆無なのだから。
ごく稀に飛行タイプの魔物が気づかずに無敵艦隊にぶつかるくらいなのだ。
「ではこちらへ。」
アゼルに案内されるままムノは別の場所にあった魔法陣に乗る。
「では参ります。」
次の瞬間には目の前の光景が全く違うものに切り替わっていた。
先ほどまでは魑魅魍魎が闊歩する豪奢な場所だったが、今は巨大な城の門の前にいるのだ。
ユグドラシルよりかは小さいが。
「参りましょう。」
アゼルが進み始めたのでムノも歩き出す。
そして門の前にたどり着くと、そこには羽の生えた獣の銅像が二つ飾られていた。
【汝らは誰ぞや】
「アゼルなんか言ったか?」
「いえ、私ではなくあの銅像……ガーゴイルに御座います。」
アゼルが指差した銅像は微動だにしていない。
だが次の瞬間ぐりん、と顔がこちらに向けられた。
「うぉう。」
動く金属は散々ゴーレムで見たが、このガーゴイルのようにグニャグニャと金属らしからぬ動きをする魔物は初めて見たムノ。
「二年S組担任アゼル=マッドハットに実習先ダンジョン、ダンジョンマスタームノ=レガス様です。」
【照合中……】
と、先ほど喋ったのとは別のもう一方のガーゴイルが言葉を発する。
しばらくすると、
【【承認しました、お通りください。】】
先ほどまではうって変わって敬語になったガーゴイル達の言葉に反応するように門が開いた。
「中々凄いな。」
「慣れた者にとっては一々大仰なのですがね。」
確かにユグドラシルのドアが一々こんな風に開いてたら蹴り破ってたかもな、と考えつつムノとアゼルは学校内へ入って行く。
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