特別講師

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「ムノ様、そろそろお時間ですので次の生徒で最後でお願いします。」 アゼルが横からそう言ったのでムノは巨人の直ぐそばで控えめに手を挙げていた限りなく人に近いが肌が黒く耳が尖ったエルフの少女を指差す。 「じゃあ君で最後だ。」 指差された少女は最初自分が指名されるとは思ってもいなかったようであたふたしていたが、やがてノートらしきものとペンを持って立ち上がるとこちらへと歩いてきて、 「ダレイア……です、その……サイン下さい!!」 「はぃ?」 ぽかーんと呆気にとられる教室内、ムノも怪訝な表情のままだ。 「え、あー、分かった。」 ノートに自分の名前を可能な限り綺麗に書き込んで渡す。 「あ、ありがとう…ございます!…その、家宝にします!」 「んな大げさな。」 そう呟いたもののダレイアはとても嬉しそうに自分の席へと戻って行った。 それを奇妙なものでも見るように見つめるクラスの生徒達。 ただ、巨人だけはこっそり馬鹿でかい芋を食べていたのをムノは見逃していない。 「では、ムノ様のダンジョンへと参りましょうか。 皆、席を立って名簿番号順に並んで下さい。」 廊下に並んだ生徒達がぞろぞろと歩いて行く。 それを何となく見ていると、ゴルズがちょいちょいと手でこちらを招いていることに気づいた。 何となくゴルズの元に近づくと、彼は小声で 「あんたつえーんだな。 さっきは舐めたこと言って悪かったな。」 ムノの中でゴルズが一気にいい奴カテゴリに入った瞬間である。 「面白いものを見せてやろう。」 ムノは右手をニーズヘッグにしてギュインギュイン回転させる。 「スゲぇ!ムノ鬼スゲぇ!!」 大声で叫ぶゴルズ、それにつられてなんだなんだと生徒達がこちらに注目する。 「ありゃ、目立っちゃったか。」 「皆さん、転送室へ着いたので列を崩さないように入ってください。」 丁度のタイミングでアゼルが呼びかけたので騒ぎにはならなかった。
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