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ウィーン、ウィーン、ピピピピ……
「敵じゃないから。」
ピピッ
何度目になるか、周回警備しているゴーレム達にそう言うのは。
ちなみに生徒達はゴーレムが通る度に目を輝かせている。
特にダレイアとスニーフォルの喜びっぷりが凄い。
と、
ズズン……ズズン……
「こ、金剛阿修羅!!本物を見られるなんて……」
スニーフォルが感極まったように向こうからゆっくりと歩いて来た金剛阿修羅を見ながら呟く。
「敵じゃないから。」
先制して金剛阿修羅にそう言っておくムノ、ユグドラシルから全体命令で敵性信号を消せばいいのかもしれないが将来敵になるかもしれないダンジョンマスターの卵達を無条件で信じるほどムノは純真ではなくなっている。
ズズズン……ズズズン……
「ムノさん……!あれ、は……?」
ダレイアがムノに恐る恐る聞く。
「よくぞ聞いた、あれは緋月明王と言ってだな、新型だ。」
「おおおおおおお!!」
これ以上なくスニーフォルの目が輝いている。
「敵じゃない。」
とりあえず先制。
緋月明王は憤怒の表情でこちらを見下ろしていたがゆっくりと正面を向くと、再び周回警備に戻って行った。
「感無量、です……」
「そりゃあ何より。」
と、ここでムノは先程から疑問に思っていたことをダレイアに問う。
「そういえば何で俺を知ってたんだ?」
「その、フォレストウルフのリーダーとバーサスを受けるまでの一部始終を……見てたので……」
どうやらあの時あの場にダレイアもいたらしい。
「そりゃあ恥ずかしいところを見られたかな。」
「そんなこと!……その、妻の方のために……かっこよかった…デス。」
もじもじしながらもそう言うダレイア、ムノの中ではものすごいスピードでいい奴カテゴリ上位にランクアップしている。
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