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「モ、モスキング……!?絶滅危惧種なのにこんなにたくさん……!」
「ウチの食料なんだけど。」
「えっ」
スニーフォルが唖然とした顔をしていると、そこへ新たな戦士(ファイター)がやってくる。
それに気づいたモスキング達はスパーリングを中断し、一斉に頭を下げる。
「フゴゴゴ……フガッ。」
一歩一歩から金剛阿修羅に匹敵する威圧感を放つその姿は赤く逞しく、その剛腕には純粋な力がミチミチと詰め込まれていた。
彼こそは拳闘豚達の頂点に立つ最強の豚、マキシマムモスである。
「あ、あれはなんじゃい?」
「あれはモスキング達の中で一匹突然変異した奴だよ。」
初めてワディグなる巨人が喋ったので若干驚きながらもちゃんと返事するムノ。
「プギガッ!」
マキシマムモスが一声声を出すと、モスキング達の中から特に体つきの良い三匹が前へ出てファイティングポーズをとった。
「お、丁度マキシマムモスのスパーリングが始まるみたいだ。」
緊張の面持ちで三魔学園の生徒達が見守る中、闘いが始まった。
「フゴォォ!!」
先手は三匹の内の一匹。
そのモスキングは一直線にマキシマムモスに突っ込むが、それはマキシマムモスの挨拶がわりのジャブで壁まで吹っ飛ばされて気絶する。
それを見た残りの二匹のうち、額に傷がある方が頬に傷のある一匹を庇うようにして構える。
頬に傷のある一匹は力を溜めているようだ。
「プギィィィ!!」
先程の一匹の反省を活かしてか左右に高速のフットワークでマキシマムモスを翻弄しながらワンツー、マキシマムモスはそれをかわしつつカウンターで額傷の一匹の頬を打ち抜く。
意識を飛ばし膝をつく額傷、だが頬傷のチャージは終了していた。
「プギギィィア!!!」
弧を描く頬傷の右腕、あまりの速さ故に相手には消えて見える、それがモスキング達に連綿と受け継がれる必殺、消える幻影豚曲拳(ファントム・ピッグフック)である。
だが、マキシマムモスはその先を行く。
消える幻影豚曲拳(ファントム・ピッグフック)の決定的弱点、あまりの速さに放たれるコースが絞られてしまうそれを限界まで頬傷の懐に突っ込むことで回避するマキシマムモス、頬傷渾身の一撃は何もない虚空を薙ぐに終わり、決定的な隙が生じる。
それは一刹那の隙だった、だがマキシマムモスにとっては関係なかった。
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