特別講師

12/15
前へ
/181ページ
次へ
「プギィィィィィィィォォオァァァァァァアッシュッッ!!!!」 足の指から踵、膝、股間、腰、背骨、肩、肘、手首、指と凄まじいエネルギーが伝わり、全身の筋肉が稼働する。 背筋を捻じ曲げながら上腕二頭筋をしならせて剛腕が吼える。 これこそが頂点の必殺秘技、栄光天昇豚拳(グロリアスポークアッパー)! 顎をクリティカルに撃ち抜かれた頬傷は天井に叩きつけられると、そのまま地面に墜ちた。 「ゴァッ!ゴアッ!ゴォァァァァァァァァァァア!!!」 勝利の雄叫びを上げるマキシマムモス、右拳をアッパーの体勢のまま維持したその姿には、絶対的強者の風格が漂っていた。 「つ、つえぇ……俺には分かる、あの豚はまだ自分が頂点だと思っちゃいねぇ。 だからこそ上を目指してさらに強くなってやがる……」 ゴルズがそう敬意と畏怖を滲ませながら呟く。 と、 「………。」 そこにマキシマムモスが己の力に溺れない原因がやってきた。 スマートな漆黒の鎧に身を包み、業物と呼ぶに相応しい双剣を帯剣した騎士。 実質この無敵艦隊の最終兵器兼家事担当、幽獄騎士である。 「………。」 無音、無言、無気配の三拍子でトレーニングルームへ入ってきた幽獄騎士にムノとミラ、そしてアゼル以外誰も気づいていない。 ちょいちょい。 「うわぁ!?」 突如現れた……ように感じた生徒達を他所に、ムノは幽獄騎士のゼスチャーで無敵艦隊の板を出せ、ということに気づき板を出して見てみる。 【本艦隊に敵影接近、解析の結果【アンデッドドラゴン】と解析。 いかがいたしましょうか?】 「うーん……」 いつもならばユグドラシルに迎撃させて終わりなのだが、どうもまだ一部の生徒達がムノの事を侮っているようなのだ。 凄いのはダンジョンであってムノではない、先程からそんな様子で睨んでくる生徒にムノは気づいていた、というか生徒以外はみんな気づいていた。 自分の足元で蟻が動いていてもどうということはないように、彼らはそんな奴らを無視していただけだが、ここいらで実力差を示すのもいい機会だろう。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8321人が本棚に入れています
本棚に追加