特別講師

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「アンデッドドラゴンかぁ……ちょっと行ってくる。」 ムノはそう言うとユグドラシルの転移装置に乗って艦の『外』へと転移して行った。 「……ようやく無能が消えたか。」 ここで声を漏らしたのは今までムノを睨みつけていたグールの少年。 「全く……ただの人間風情が偉そうに踏ん反り返って、死ねばいいのに。」 次に言葉を吐いたのはゼルルカ。 「本当だにー、どーせならあいつぶっ殺してダンジョンもらっちゃうにー。」 三人目はうさぎ耳の生えた少女。 珍しいことに、極めて珍しいことに、ここまで言われているのにミラが何もアクションを起こしていないのだ。 てっきり三人とも灰にするのでは、と警戒していた幽獄騎士は拍子抜けな気分で剣に伸ばしていた手を引っ込めた。 「なぁミラさんよぉ、あんな人間よりも俺と付き合えよ。」 グーの少年はムノがいないことを幸いにミラをナンパし始めた。 そう、生徒達は知らない。 厳密にはダレイア以外は知らない、それも無理もない話なのだがこの時点で少なくともグールの少年は明日はもう拝めないだろう。 「私、臭いのは苦手ですので遠慮させてもらいますわ。」 「あ?チョーシ乗ってん」 「いやー、死んでるからか歯ごたえのない敵だった。」 魔王帰還。 ズタズタに引き裂かれたアンデッドドラゴンを片手で掴んだままムノが転移装置で戻ってきた。 「おかえりなさいムノ、実は私あのゾンビにナンパされちゃったの。」 「俺はゾンビじゃなくてグー」 すぱん。 次の瞬間、グールの少年の四肢がなます切りにされた。 「え………?」 「お前さっきから俺の事を睨んでたやつだな。 勘違いしてるようだから言うけど別に俺はお前らがどこぞの学園の生徒だから手を出さないんじゃない、別にどうでもいいから手を出さないだけだ。 だがお前は調子に乗り過ぎた。」 「あ、あぁぁぁぁぃぁぁぁあ!!?」 「死ね。」 ぐじゅり、と音を立ててグールの少年の頭が踏み潰された。 「なぁ……!?」 「にぃ…!?」 突然の出来事に唖然とする生徒達……という事はなく、強いて言うならムノの事を舐め腐っていたゼルルカとウサギ耳の少女が驚いたようにムノを見ているだけだった。
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