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ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、
ムノとミラ、二人が洞窟へ入って行って暫くして、洞窟の入り口に近寄る足音一つ。
それはずるりと地面からワーム適応種の残った部分を引きずり出すと、
くちゃ、じゅるる、ぶちっ、ぐしゅ、ぼぎゅ、ねちゅ、にちゅ、
喰らい始めた
その顔から闇を噴き出しながら。
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!
暴虐の牙が群がる毒百足を刻んでゆく。
絶え間無く回転する刃は一回転ごとに命を毟り、肉を抉る。
洞窟に反響する音は百足の断末魔と重なり血濡れた狂想曲となる。
止める者あらず、故に止まらず。
魔王と魔女はただ進む、命を踏みつけ、血を地に塗りたくって。
二人の後ろには残骸と紫の血のカーペットが広がっていた。
ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、
がり、ごり、ばぎっ、ごきゅ、ぐぢゃ
「どうしたの?」
「……見られている気がする。」
幾らか進んだあたりでムノがそうぽつりと洩らした。
先程からムノは何か視線を感じるのだ、しかしこの濃密な瘴気のせいで上手く気配を探れない上に、絶え間無く現れる虫けら共が集中を乱れさせる。
「鬱陶しい虫共め……」
思わず毒づくも虫は止まらない、今度は人間大の蝿の大群だ。
「あああもう!!Llama explosion Panther Fang(爆発する炎豹の牙)】!!」
苛立ちの限界に達したミラが炎の豹を飛び込ませる。
豹は蝿を切り裂き食い千切る、そしてしまいには蝿の発生源である穴に飛び込み爆発する。
「不愉快よ……不愉快極まりないわ……」
遂には身体から溢れる魔力によって景色が歪んで見える程お怒りの様子のミラ。
自らの探究心を邪魔されて相当ご立腹だ。
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