屍の少女

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「………。」 無言で何か考えていたムノは右手をニーズホッグにすると…… 「ふっ!!」 真空の刃を飛ばした。 「岩盤くらいなら貫通する威力だ、これでとりあえずのアクションを見る。」 がり、ぐしゅ、ごちゅ、くしゃ、むしゃ。 バヒュンッ!! 「………?」 ベキベキッ、ゴリ、ゴリ、ゴリ、ごくん。 「何だこれは……」 「食い散らかされたモンスターの死骸……?」 「一体何がこんな事を……」 「みんな伏せて!!」 「え?」 すぱん、ぼとっ。 「か、格闘士さん!!?」 「聖職者(プリースト)!回復を!!」 「……首を落とされては、もう…………。」 「そんな……」 「……皆、前に注意しながら進むんだ。 格闘士の死を無駄にしちゃだめだ。」 そんな事になっていようとは露知らず、ムノとミラはモンスター達を蹴散らし遂に目当ての鉱石の場所へとたどり着いていた。 「これがそうか?」 「ええ、これがアダマンタイト。 別名を喰震鋼(がしんこう)と言ってその名の通り衝撃を吸収する性質を持つの。 特殊な加工を施すことで優れた武具になる……と言うのが一般的な認識でしょうね。」 「お、じゃあ魔女様の認識を伺おうか。」 「アダマンタイト……私が注目するのは衝撃を消し去るのではなく吸収する点よ。 そこに何らかの魔術的加工を施せば溜め込んだ衝撃を炸裂させる爆弾のようなものが出来るはず。 私の仮説が正しければ加工次第では小石ほどのサイズで街一つを消し飛ばせる威力を出せるはずよ。」 命を奪う道具の説明を新しいものを見つけて自慢する子供のように自慢げに語るミラ、そしてそれを微笑ましげに見つめながら聞くムノ。 と、ここでムノが何かに気づいた。 「どうしたの、ムノ?」 「いや……瘴気が流れている。」 「え?」 「こっちだ。」 ムノはミラを連れて瘴気の流れる方へと進んで行く。 ここまで瘴気が濃くなると適応できるモンスターがいないのか先程とはうってかわって静かな洞窟を進んで行く二人。 そしてムノとミラは開けた場所へと出た。 「……あれが瘴気の発生源にして終着点か。」
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