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振りかぶった拳を解きながらムノはそう言うのだった。
紫の鱗を持つ竜はグラキスタと名乗った。
「私は『紫紺迷宮』というダンジョンを所有しているのですが……」
ムノはグラキスタの話を聞きつつも自分の前に表示した板で紫紺迷宮の情報を集める。
・紫紺迷宮
紫紺竜グラキスタをマスターとする神殿迷宮型ダンジョン。主なモンスターは有機ゴーレム、人工精霊などである。
ダンジョン下層は紫紺石と呼ばれる宝石を素材として迷宮を形成している。
「ふむ……」
これは確かに「狙われそうな」ダンジョンである。
「一昨日のことでした。我がダンジョンに侵入者が来たのですが……どうやらそいつらは近頃人間達の間で騒がれているドラゴンクエイクの先遣隊だったようで……」
「それで?」
「それ自体は撃退したのですが……侵入者は二名、その二名に我がダンジョンは半分攻略されました。」
「ほう」
仮にもダンジョン、トラップやモンスターを張り巡らせているだろう。それを偵察だけで半分制覇、本隊が到着すれば十中八九攻略されるだろう。
「初めは報酬を出して助っ人を集めようとしたのです、しかし牙蠱の巣窟が落とされたとの情報に誰も協力してくれず……」
「で、俺を見つけた、と。」
「どうか!ご協力いただけないでしょうか!!」
地面にめり込ませんばかりにひれ伏すグラキスタ。
「お受けしていただけるなら出来る限りの報酬は支払います!!」
「ふむ……あ、そうだ。【冒涜の花】って持ってるか?」
「?……持ってるも何も我がダンジョンでは大量に自生しておりませが……」
「それの一番でかい花をくれ、それで手を打つ。」
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