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そんなものでいいのか?という気配を隠さないグラキスタだが、補足として言っておくと冒涜の花は本来一般的な土地では発芽すらしない。
周囲の栄養を搾り取るだけ搾り取っても、精々双葉が出るくらいだ。冒涜の花は土ではなく石から生える。石に宿る圧縮された魔力を糧に育つ花なのだ。
グラキスタのダンジョンは一部が宝石によって構成されているからこそ大量に自生しているのだろうが、本来は鉱山に一輪だけ生え、鉱山周囲の草木を全て枯らす程の植物である。その様は周囲の命を冒涜し己のみを咲かせる。故に冒涜の花。
「で、そいつらはいつ来るんだ?」
「その……」
言いづらそうにしていたグラキスタだが、恐る恐るといった様子でこう答えた。
「明日……です。」
「……お、おう」
「あらムノ、お帰りなさ……どうしたの?」
「ちょっと頼まれごとがあってな!緋月明王一体と人形何体か持ってく!!」
「……どうしたの?」
「虫の駆除するだけで欲しいものがタダで貰えるかもしれんくてな!!」
「あらあら。」
「あくぎゃくひどー!」
グラキスタの紫根迷宮。
その二階層にムノの無敵艦隊の精鋭はいた。
その構成は艦長ムノ、緋月明王一体、マザービー五機、ゴルトン二台、ゴルトン一台にジグが二十機。
これだけでも並のダンジョンは陥落するだろう。
「グラキスタ、様子は?」
ムノはグラキスタのいる最下層に一機だけ通信用にマザービーの子機を置いてきた。
その子機を通じてムノに通信が来る。
『は、はい。ドラゴンクエイクの奴らは現在入り口前で集まっています。そろそろ来るものかと。』
「分かった。」
ムノは帽子を目深に被り、己の傀儡達に命令を出す。
「二階層に降りてきたやつを全員殺せ。」
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