天下の些事

6/10
前へ
/181ページ
次へ
紫紺迷宮入り口。 そこに向かうところ敵なしと謳われる冒険者ギルド【ドラゴンクエイク】の精鋭達が集結していた。 「今回攻略する紫紺迷宮は先遣隊の情報によれば最低でも四層以上、そして五層目以降からは壁天井床全てが最高級紫紺石で出来た宝の山だ!」 「隊長!山じゃなくて洞窟だぜ!」 隊長と呼ばれた人物は自分にそう言った人物をぽかりと殴ると「うるせぇ!」と一言ぼやいた。 そのやり取りに笑い声を上げるメンバー。 「続けるぞ!出現モンスターは主にゴーレム系だ。大盾隊を先頭にノルマは大盾隊の被弾は一発だ! 二撃目が来る前にぶっ殺すぞ!」 「「「「応!!」」」」 大柄な体を覆うほど巨大な盾を背負った屈強な男達が隊長の声に応える。 その目からは何者も後ろには通さないという自負が感じられた。 「前回のダンジョンはロクな金にならなかったが今回は違う!成功の暁には俺の自腹でてめーらに酒をおごってやる!!」 「「「「「「っしゃぁあ!!」」」」」」 「酒だけだかんな!つまみはてめーらの自腹だかんな!!」 会話ではふざけあいながらも全員が慣れた手つきで武器の手入れを済ませていた。 「行くぞてめーら!」 「「「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」」」 『き、来ました!!』 「分かった。にしてもお前仮にもドラゴンなんだからもう少しどっしり構えられねーのか?」 『私の種族はそこまで強いわけではないですので……最上級種族の三大竜ならばこの程度敵でもないのかもしれませんが……』 「三大竜?」 聞きなれない単語にムノはグラキスタに聞き返す。 『【三大竜】は最強と名高い三種の竜です。 皇竜、王竜、帝竜の三種で一体一体が特別な力を持つ最強の竜達です。』 「ふーん」 『彼らは基本的に【竜界】に住んでいるので滅多に人間界には現れませんが……』 竜界とは魔界の仲間みたいなものだろうか。 気になるが今は害虫駆除が先だろう。 「今虫どもはどこらへんだ?」 『そろそろ二階層に来るかと。』 「そうか……緋月明王。」 ムノは新型の実践テストを兼ねて緋色の巨人を前に出す。 「命令コード、敵対勢力の殲滅。」
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8321人が本棚に入れています
本棚に追加