天下の些事

10/10
前へ
/181ページ
次へ
数日後、ムノはふと気になったあることを調べていた。 それは、以前壊し尽くしたドラゴンクエイクのような、【ギルド】についてである。 基本的に侵入不可能な無敵艦隊にとっては関わりの無いものなので、一体どのようなギルドがあるのかなどを調べて見たくなったのだ。 生憎とムノもミラも、人間だった頃は辺境の……ダンジョンの脅威が無い環境に住んでいたので、同じくギルドというものにも疎いのだ。 「…………まぁ確かに、ダンジョンが一定数なのは攻略されているからだし、強い奴がいるのは当たり前か……」 調べた結果、ドラゴンクエイクなど新米も新米だったようだ。 ダンジョンマスターの間でも特に恐れられているギルドは二つある。 天下無双と謳われる【武神】の名を持つ男が所属するギルド【心の剣(ハートブレード)】。 そして最強の【女帝】をトップに、総戦力は大国五つを敵に回すのに匹敵すると言われている【領地無き帝国(ノーアース・エンパイア)】である。 それ以外にも幾つかあるようだが………魔界側の情報収集力は凄まじいもので、それぞれのギルドの構成員の情報が末端まで調べ上げられているのだ。 だが、ムノが特に目を惹いたのはそこではない。 「懸賞金、ね………」 高名なギルドを潰せば、魔界から報酬が出る。 それは魔界での通貨であったり、強大なモンスターを呼ぶ為の権利であったり……… 「ちょっと興味が出て来たな。」 先程の二つのギルドなど凄い。 トップを殺した暁には、魔界の五分の一の全権が与えられるそうだ。 とはいえ、報酬の下にある「3200」という文字は恐らく「今まで挑んでやられてきた犠牲者の数」であるわけで…… 倒せる確証の無い相手に挑む程ムノも暇を持て余していない。 そもそも特に困っているわけでもない。 娯楽目的で「狩る」ならば、もう少しランクを下げるのが賢明だろう。 こういうものは見ているだけでも案外楽しめたりするもので、このギルドにはこんなものが報酬として提示されているのか、と見ていたムノだったが、ある一文に目が留まった。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8321人が本棚に入れています
本棚に追加