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ムノは祖母の形見の奇妙な道具を、ミラは手製の杖を持っていた。
「ねぇムノ、その道具って結局なんなの?お祖母様の形見だという事は分かったけど。」
「これか?待つっていうなら使う機会はないと思うけど一応護身用に持ってきたんだが……。」
ムノは腰に吊られていた道具を外してミラに見せる。
それは真っ白な刃の無い剣というべきか、一見すれば薄い棍棒にも見えなくも無い。
「起動したとこを見たことがなかったから眉唾ものだったけど婆ちゃん曰く勇者の剣すら超える古代遺産なんだってさ。」
実際、その威力は勇者の剣などゴミに等しかったのだが。
「これに魔力を流すと……」
ガシャッ!ギュインギュインギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!
ムノが魔力を込めた瞬間、幾つもの小さなエッジが展開し、高速回転を始めたのだ。
「これの銘は【タイラントファング】、威力は既に実証済み。
人がこれに巻き込まれて粉砕されるんだぜ?」
【何】でタイラントファングの威力を実証したのかは、これがあった場所を考えれば自然と分かるだろう。
答えに至ったミラは顔を赤らめ、
「ムノ、素敵………。」
ムノもミラも全てに裏切られた者同士、親に情けなど欠片も無い。
と、二人の目の前に立つ者が。
フォンフォンフォンフォン……
「石板?」
「魔術で動いてるわ、これ。」
石板は二人の前で停止すると、その表面に文字が浮かぶ。
【ついて来なさい。】
「行くか。」
「ええ。」
ムノはタイラントファングを腰に吊り直し、ミラはムノの腕に自分の腕を組ませ、石板について行く。
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