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無限に思える階段を昇る二人と一枚。
途中、ユグドラシルよりも巨大な獅子がすぐ横を通りがかった時は流石のムノ達も警戒態勢に入ったが、獅子はこちらをつまらなそうに見ると、そのまま歩き去って行った。
このダンジョンのマスターの支配がしっかりと行き渡っているのか、それとも餌としてすら見られていないのか。
【まだまだ階段は続きますが大丈夫ですか?】
「俺は改造人間ですので」
「私は魔女ですので」
「「問題ありません。」」
言葉が重なったことに微笑み合う二人。
石板はその返事をどういう風に聞き取ったのかは分からないが、
【分かりました。】
伝わってはいるようだ。
【このペースならあと五分で到着します。】
あれから二時間、普通の人間なら疲れ果て下を見て竦んでしまうような高さの階段を二人はにこやかに登っていた。
そもそも超高度から命綱無しで飛び降りるような二人だ、この程度恐怖するまでもない。
そしてついに巨大な二枚扉の前に辿り着く二人。
【この先で主がお待ちになっておられます。】
そう表示すると、石板は門の隣にある石板と同じ形の窪みに嵌りこむと、壁の一部に同化した。
「じゃあ、開けるぞ。」
ムノが扉を押す、だが動かない。
「ふうっ!!」
今度は力を込めて扉を押す。
ぎっ、ぎぎぎぎぎ……!
重厚な鋼の二枚扉が軋みながら開いて行く。
そして二人は中に入った。
「何ここ。」
そこには、長テーブルに椅子が三つ。
二つは扉の近く、一つは部屋の奥に、ただその一つは漆黒の根っこに覆われていた。
よく見ると部屋全体が漆黒の根に覆われている。
「これ、ダンジョンウッドだ。」
上を見たムノがそれに気づく。
そこには、ユグドラシルと同じ大きさのダンジョンウッドが厳かに佇んでいた。
ここまで育つのに一体どれほどの年月と魔力が必要なのか、ムノには分からなかった。
「ようこそ無敵艦隊の艦長、そして君は彼の奥方かな?」
ムノでもミラでもない第三者の声。
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