天を臨むダンジョン

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声のした方を二人が見ると、 「僕の名はフュード、このダンジョン【天臨山】の主だ。」 茶髪の男性が穏やかな顔で二人を見ていた。 ただその足は、床一面に広がるダンジョンウッドの根と同化していた。 奇妙な晩餐会が開かれた。 二人の前に料理がなんの前触れもなく突然現れる、それらは二人が今まで見たこともないような食材ばかりで、中には毒々しい色をしているものまであった。 「安心してくれ、見てくれこそあれだけどこのダンジョンで生まれた新種なだけで味は保証するよ。」 フュードは根の上しか移動できないらしく、そのため根に覆われていた椅子に座り料理を上品に口に運んでいた。 ここで、意を決して二人が青く輝くステーキを口に入れる。 「「美味しい!」」 「それは良かった。」 三人は暫く料理に舌鼓を打ったのだった。 「さて、君達も気になっているだろうから話をするとしよう。 質問ならなんでも受け付けるよ。」 食事も終わって、フュードが幸せそうな顔のムノとミラに言葉を投げる。 「じゃあ、何で俺達を招いたんだ?」 「そりゃあ、こんな場所に来たのが君達が初めてだからさ。」 確かに、こんな場所に来れるのはムノのように古代遺産を所有する者か、この高さまで羽ばたける翼を持つ者だけだろう。
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