天を臨むダンジョン

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「じゃあ、貴方は何故ダンジョンウッドと同化しているのかしら?」 「ふむ、少し長くなるけどいいかな?」 頷く二人。 それを見たフュードは静かに語り出した。 「今下界がどうなっているかは分からないけど僕はこの天臨山、いや空中移動大陸【オリュンポス】が建造された時代の人間だった。」 つまり彼は……古代文明が滅んでいなかった時代の人間なのだ。 「君もあれらの艦長ってことは僕達が何と戦っていたのかは知っているね?」 「魔界……か。」 「そう、今でこそ魔界の方針はダンジョンを作ることで人間を効率良く【収穫】する養殖派が主流だけど当時は人間を根絶やしにしようとする過激派もあったんだ。」 フュードは古代人、ムノはユグドラシルから情報を入れられたが、何も知らないミラは驚いている。 「話を戻そう。 人間が無意識の内に放出する魔力を当時必要としていた魔界の者達と戦っていた僕ら古代人は戦争の切り札として君の無敵艦隊、そしてこのオリュンポスを造り上げた。 だけどこれほどの規模の物を造るには僕達は疲弊しすぎていた。 魔界からの攻撃に晒されながらも何とかこれらを完成させた訳だけど、その時には魔界内部でも革命が起き、彼等の進軍は終わった。」 話は続く。 「人々は最初戦いが終わったことを喜んだ。 でもそんな中僕を含めた賢者と呼ばれて居た者達は、オリュンポス、そしてユグドラシルを巡って今度は人間同士で戦いが起きるであろうことを予見していた。 だから無敵艦隊を無間の谷へ落とすことで隠した。 でも、オリュンポスを秘密裏に何とかすることはできなかった。 そもそもオリュンポスを起動するためのエネルギーが無かったんだ。 永久機関を動かすのにも元となるエネルギーが必要だったからね。 そんな時、僕に魔界から養殖派がコンタクトをとってきたんだ。 人間界にダンジョンを作り、中に入った人間から魔力を奪う。 最初に聞いた時はふざけるなと思ったけど話を聞く内にオリュンポスを巡って絶滅するよりも僅かな犠牲で済むならその方がいいのでは、とね。 結論として僕らはその条件を受諾し、オリュンポスをダンジョンにして空へ飛ばした。」
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