下界狂騒曲

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朝、目を覚ますとムノの目の前には全裸のミラが。 別に行為にまで及んだわけではなく、純粋に一緒に寝ただけだ。 自分の隣で安らかに眠るミラを見て、それにしても綺麗だとムノは思う。 白磁の陶器すらくすんで見えるほど透き通った肌、豊満ながら均整のとれた身体、絶世の美女という言葉すら彼女には役不足だろう。 ムノは愛おしげに彼女の光を反射して輝く銀髪を撫でる。 そして髪を撫でていた手はミラの顔へと向かう。 彼女の頬を撫でながらムノはぽつりと呟く。 「俺には勿体無い奥さんだ……。」 「ふふ、三千世界を探しても私の夫は貴方だけよ?」 突然目を開いたミラがムノの手をとってムノに笑いかける。 「何時から起きてたんだ?」 「貴方が私の髪を撫でてくれたから目が覚めたの。」 ミラはムノの手を己の胸に当てる。 「ムノ、私はあの日から貴方が私の全てなの。 貴方が私を救ってくれたから貴方の手を握れるの、貴方とキスが出来るの、貴方と一つになれるの。 だから自分の事を卑下しないで、お願い。」 涙を流しながら懇願するようにムノに語るミラ。 「分かったよ……愛してる、ミラ。」 ムノはミラを強く抱きしめ、キスをした。 結果として朝チュンならぬ昼チュンになったわけだが。
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